トラック事業者にとって高額なトラックの入れ替えは大きな出費になります。トラックの購入には補助金や助成金をうまく活用し、購入コストを抑えましょう。トラック購入補助金制度について詳しくはこちら。
トラック購入のメリット
トラックはさまざまな業界で活躍しており、購入を考える方も多くなっています。購入のメリットやROIについて解説します。
トラックのビジネスチャンス
トラックは物流の主役であり、時代が移り変わっても常に必要とされてきました。
近年ではECショッピングの隆盛により、消費者一人一人に向けた宅配便も年々増加しています。ですが、現在物流業界はドライバーの高齢化にともない人手不足が深刻化しており、輸送しなければならない荷物に対してトラックが足りていない状況が続いています。また物流業界だけでなくトラックはさまざまな業種で活躍しています。
引っ越し業界ではパワーゲート付きのアルミバンが活躍し、建設業界では土砂を運ぶダンプや重機を運ぶセルフローダーなどが無くてはならない存在です。さらに、投資家個人がトラックを購入し管理会社を経由しリースによって貸し出すなど、投資対象として注目されている側面もあります。
トラック購入の効果とROI
トラックの購入を考えた際、購入かリースか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
トラックを購入するメリットとして、「資産になる」点が挙げられます。資産になったトラックが不要になった場合は買い取りに出すことで現金化できます。日本のトラックは壊れにくく中古トラックの需要は高まっているため、価値が下がりにくい傾向にあります。
一方リースでは、トラックの所有権はリース会社であるため、資産にはなりません。トラックを購入するにあたり考えておきたいのがROI(投資利益率)です。ROIはROI(%)=利益÷投資額×100で計算されるため、仮に1000万円のトラックを購入し年間利益が200万円だった場合は20%となります。つまりトラックの購入金額である1000万円の投資に対する回収期間は5年ということになります。
補助金とその利用方法
2023年(令和5年)現在、トラックの購入にあたり申請できるトラック車両本体を対象にした補助金・助成金を解説します。
補助金の種類と申請方法
補助金の種類と申請方法は以下のとおりです。
環境対応車導入促進助成事業(全日本トラック協会)
温室効果ガスの排出削減と地球環境の保全を図ることを目的としたもので、環境対応車の導入を行う各都道府県トラック協会会員事業者に対し、経費の一部が助成されます。
対象となる車両は新車の天然ガス自動車で車検証の燃料の種類の欄にLNGもしくはCNGと記載されているもの又は、新車のハイブリッド車で車検証の備考欄にハイブリッド車と記載されているものに限られます。
助成金交付額は、天然ガス自動車のバイフューエル車で5万円、最大積載量4トン未満で12.2万円、最大積載量4トン以上で45.9万円、車両総重量12トン超えで100万円が助成されます。ハイブリッド自動車では最大積載量4トン未満で9.7万円、最大積載量4トン以上で33.5万円、車両総重量12トン超えで30万円が助成されます。
なお、天然ガス自動車・ハイブリッド自動車ともに令和5年4月3日から令和6年3月8日の間に新車新規登録が完了する車両であることが条件です。事業者が所属する地方トラック協会へ必要書類を提出し申請します。
商用車の電動化促進事業(環境省・一般財団法人環境優良車普及機構)
2050年、2030年のカーボンニュートラル及び温室効果ガス削減目標の達成に向け、商用車の電動化に対し補助を行い、普及初期の導入加速を支援します。価格低減による産業競争力強化・経済成長を促し、温室効果ガスの排出削減を共に目指すものです。
補助金の対象となる車両はあらかじめ環境省の事前登録を受けた新車のトラックで、BEV:電気自動車・PHEV:プラグインハイブリッド車・FCV:燃料電池自動車、車両総重量2.5トン超の車両(事業用、自家用)、車両総重量2.5トン以下の車両(事業用のみ)※バンタイプ含むに限られます。なお申請対象車両が国の他の補助金を受けていないこと、令和5年4月3日から令和6年1月31日の間に車両の新車新規登録が完了する車両であることが条件です。
補助額はメーカー、型式によって異なり、一般財団法人環境優良車普及機構へ交付申請書を提出し申請します。
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業(環境省・公益財団法人日本自動車輸送技術協会)
CO2排出量の4割を占めるトラック・バス由来のCO2排出量を削減するため、ハイブリッドトラック、天然ガストラック及び電気バスなど、環境配慮型先進トラック・バスの導入及び電気自動車用充電設備の設置(但し、本補助事業による車両導入と一体的に行われるものに限る)に要する経費の一部を補助するものです。
対象車両は自動車製造事業者から事前登録されたに車両に限り、HV:ハイブリッドトラックやNGV:天然ガストラック、電気バスやプラグインハイブリッドバス、ハイブリッドバス、天然ガスバスが対象です。
補助金額は標準的燃費水準の車両との差額の一定率で、電気自動車(EV、PHV) 2/3・ハイブリッド自動車(HV) 1/2・天然ガス自動車(NGV) 1/2の金額が補助されます。申請は電子申請システムjGrants又はEメールにて公益財団法人日本自動車輸送技術協会へ申請書を提出し行います。
補助金のメリットと注意点
補助金のメリットは、トラック車両本体の価格を抑えられる点にあります。すべてのトラックが補助金や助成金の対象になるわけではありませんが、車両購入コストを少しでも抑えたいのであれば申請しない手はありません。
注意点としては、申請期間に期限があること、定められた補助金の総額に達し次第募集を終了するケースがあることが挙げられます。常に最新の補助金、助成金の情報を得るようにしましょう。
補助金申請の具体的な手順
必要な書類と申請手順
それぞれの申請に必要な書類と申請手順を解説します。
環境対応車導入促進助成事業(全日本トラック協会)
申請手順・必要書類
1.事業者は所属する地方トラック協会へ、環境対応車導入促進助成金交付申請書、5枚複写の全ト協様式1(第6条関係)、見積書の写しを提出する
2.地方トラック協会から事業者へ交付決定通知
3.事業者は交付決定通知後に新車新規登録をおこなう
4.新車新規登録を完了した事業者は、完了から原則1ヶ月以内に、所属する地方トラック協会へ実績報告書(兼助成金請求書)を提出する。添付書類として自動車検査証記録事項の写し・車両代金の領収証等の写し・割賦の場合は割賦販売契約書の写し・電気自動車の場合は車両の所有者の貨物自動車運送事業報告規則に基づく 直近の事業年度の事業報告書の表紙及び事業概況報告書の写し又は事業完 了日から3ヶ月以内の履歴事項全部証明書の写し・そのほか地方ト協が定める書類が必要
5.地方トラック協会から事業者へ助成金の支払い
商用車の電動化促進事業(環境省・一般財団法人環境優良車普及機構)
申請手順・必要書類
1.申請者は交付申請書(非化石エネルギー転換目標に係る添付書付き)を一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)へ提出する
2.LEVOから交付決定通知書が届く
3.申請書は新車車両を購入し、完了実績報告書 (様式第11)・様式第11(別紙1)様式第11(別紙2)・精算払請求書・非化石エネルギー自動車の区分別導入台数計画とその割合 【添付物】 ・車両代請求書の写し・領収書の写し・自動車検査証と自動車検査証記録事項の写しをLEVOへ提出する
4.LEVOは申請者へ交付額確定通知をしたのち補助金を支払う
5.補助金を受領した申請者は事業報告(様式第14) ・走行データ報告書の申請年度と翌年度分をLEVOへ提出する
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業(環境省・公益財団法人日本自動車輸送技術協会)
申請手順・必要書類
1.申請者は公益財団法人日本自動車輸送技術協会(JATA)へ補助金交付申請書を提出する。この時、申請者が法人である場合は、現在事項全部証明書の写し・申請者が個人事業者である場合は、住民票の写し又は自動車運転免許証の写しを提出・補助対象経費に係る見積書の写し・自動車購入契約書の写し(納車予定日を明記しているもの)・交付規程様式第1(その3)(誓約書)を同時に提出する
2.JATAより交付決定通知を受け、車両を購入する
3.申請者はJATAへ完了実績報告書・補助対象経費に係る請求書の写し・補助対象経費に係る支払いを証する書類(領収証等)の写し・補助対象車両の自動車検査証(自動車検査証記録事項を含む)の写しを提出する
4.JATAから交付額決定通知を受ける
5.申請者はJATAへ精算払請求書を提出する
6.申請者は補助を受けて導入した車両の管理台帳を作成して保管する
7.申請者は補助事業が完了した日(新車新規登録日)からその年度の3月末 までの期間及びその後の1年間について、年度毎に当該年度の終了後30日以内に当該補助事業による二酸化炭素排出削減量及び燃費改善効果等について交付規程 様式第14(事業報告書)・二酸化炭素(CO2)排出量計算表(その1)及び(その2)を JATA へ提出する。 また、上記報告の期間内においては四半期(3か月)ごとに、二酸化炭素排出量計算表(その2) を JATA へ提出する
申請要件と審査基準
それぞれの補助金の申請要件や審査基準を解説します。
環境対応車導入促進助成事業(全日本トラック協会)
申請要件
地方トラック協会の会員であり、環境対応車を「買取り」又は「リース」により導入し、かつ使用するトラック運送事業者又はリース事業者であること。
審査基準
買取りの場合には地方トラック協会からの実績報告書の内容を、 リースの場合には地方トラック協会からの実績報告書とリース事業者からの請求書の内容を、それぞれ照合・審査する。
商用車の電動化促進事業(環境省・一般財団法人環境優良車普及機構)
申請要件
国で定める目標等に準じる非化石エネルギー自動車の導入計画を設定している事業者であること。詳しくは以下参照
・貨物自動車運送事業者
・自家用商用車(トラック等)を業務に使用する者(車両総重量2.5トン超の車両に限る。)
・商用車(トラック等)の貸渡しを業とする者
・地方公共団体
・その他環境大臣の承認を得て、執行団体が適当と認める者
審査基準
申請者から申請された補助事業の完了、完了実績報告、精算払請求などの申請書を審査する。
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業(環境省・公益財団法人日本自動車輸送技術協会)
申請要件
環境配慮型先進トラックを導入するトラック事業者又はリース事業者であること。
審査基準
・申請者が間接補助事業者の要件を満たしているか
・申請に係る補助対象車両は「事前登録された補助対象車両」であり、かつ、 基準額が正しいか
・申請書の添付書類(現在事項全部証明書、見積書、請求書、領収書等)は 正しく記載されたものか
・申請者がリース事業者の場合、貸渡し先事業者と正しく契約されているか
・補助金がリース料金に反映されているか
・導入された補助対象車両の自動車検査証の記載内容は、申請内容及び添付 書類の内容と一致しているか
・導入された充電設備は、導入車両の充電を行うための設置位置、導入台数、 出力電力等設備が合理的か
Advertisement