本記事では、運送業が使える補助金・助成金をご紹介します。資金繰り改善をしていきたい運送業者はぜひご覧ください。以下のオプションは、トラックが製造補助金の対象となるかどうかを説明し、どのように使用できるかの例を示している。
昨今は物価や燃料費が高騰しており、資金繰りが悪化している運送業者が増えてきています。資金繰りの改善には、カードローンや融資のみならず、補助金・助成金を利用するのもおすすめです。本記事では、運送業が使える補助金・助成金をご紹介します。資金繰り改善をしていきたい運送業者はぜひご覧ください。
- 運送業が利用できる補助金・助成金にはさまざまなものがあるよ!
- 制度をうまく利用できれば、車両や設備を充実させたり、人材育成をしたりするのに役立つはず
- 受付が早期に終了する場合があるので、余裕をもって準備を進めよう!
補助金・助成金とはどんな制度?
補助金や助成金を利用する際は、まず具体的にどういった制度なのかを理解しましょう。名称としては似ている制度ですが、利用条件が少し異なります。以下では、補助金と助成金について詳しく解説しますので、利用する際の参考にしてください。
補助金は条件を満たし審査に通過すると利用できる
補助金とは、条件を満たしていて、かつ審査に通った場合に受け取れるものです。条件を満たしている場合でも、審査に通らなければ支給されません。応募がとても多かった場合は、ほかの事業より優れた部分がないと支給されない可能性があります。
助成金は条件を満たしていれば原則利用できる
助成金は、条件を満たしていれば原則として受け取れるものです。補助金とは異なり、応募状況や事業内容などによって、審査落ちしてしまうリスクが低くなっています。より確実に資金サポートを受けたいのであれば、助成金のほうが適しています。
補助金・助成金を利用するメリット・デメリットは?
補助金・助成金を利用するうえでは、メリットだけでなくデメリットもあります。「資金難から脱却できる」とメリットだけに注目せず、デメリットも理解したうえで利用しましょう。以下では、補助金・助成金を利用するメリットとデメリットを解説します。
補助金・助成金を利用するメリット
補助金・助成金は、資金繰りや社会的信用といった点でメリットがあります。具体的なメリットは以下のとおりです。
補助金・助成金を利用するメリット
- 資金繰りを改善できる
- 返済の必要がない
- 事業計画を見直すきっかけになる
- 社会的な信用が高まる
補助金・助成金は返済の必要がないので、資金繰りを着実に立て直せます。また、事業計画書や申請書類を作成するなかで、事業に関する見直しができるのも、制度を利用するメリットです。
さらに、申請が通った場合は「審査に通るくらいきちんと事業をしている」という証拠になり、社会的信用を高める効果もあります。
補助金・助成金を利用するデメリット
補助金・助成金を利用する際は、受給までに手間と時間がかかる点に注意が必要です。具体的なデメリットを以下でまとめましたので、ご覧ください。
補助金・助成金を利用するデメリット
- 書類準備に時間がかかる
- 絶対に受給できるとは限らない
- 新たな取り組みを実施する必要がある
- 受給までに数か月ほどかかる
補助金・助成金を利用する際には、申請書や事業計画書のほか、制度ごとにさまざまな書類を準備する必要があります。補助金の場合は、たくさんの書類を準備したとしても、応募状況によって需給できない場合がある点もデメリットです。
また、補助金や助成金は、原則として何らかの新たな取り組みを行い、その実績を報告してはじめて受給できる仕組みになっています。申請から受給までに数か月ほどかかるケースが多いのも、補助金・助成金を利用するうえでは十分に注意しましょう。
運送業が使える補助金・助成金11選
運送業が使える補助金・助成金には、以下のような種類があります。それぞれ対象者や、対象となる費用が異なりますので、事業内容や計画に合わせて選びましょう。
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 原油価格高騰等対策支援制度
- 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金
- エイジフレンドリー補助金
- 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
- 全日本トラック協会助成事業【安全対策事業】
- 全日本トラック協会助成事業【環境対策事業】
- 全日本トラック協会助成事業【経営改善事業】
以下では、各制度の対象者や申請方法などについて詳しく解説します。
事業再構築補助金
対象者 | 時代変革に対応するため事業を再構築する事業主 |
支給額 | 100〜8,000万円 ※企業規模などにより異なる |
申請枠 | ・成長枠 ・グリーン成長枠 ・卒業促進枠 ・大規模賃金引上促進枠 ・産業構造転換枠 ・最低賃金枠 ・物価高騰対策・回復再生応援枠 |
申請方法 | 「GビズIDプライム」にて電子申請 参考:事業再構築補助金『トップページ』 |
事業再構築補助金は、社会情勢によって資金繰りが悪化している事業者に対して、業態転換や販路開拓を通じて事業を再構築するための費用をサポートする制度です。運搬費・設備費・広告費・外注費などさまざまな経費が対象となります。事業転換や、人材育成、新分野の展開などを通じて、事業の立て直しをしていこうと考えている事業者にはとてもおすすめです。
ものづくり補助金
対象者 | インボイス対応や賃上げ、被用者保険の拡大など制度変革の対応に苦慮する事業主 |
申請枠 | ・通常枠 ・回復型賃上げ・雇用拡大枠 ・デジタル枠 ・グリーン枠 ・グローバル市場開拓枠 |
支給額 | 100〜1,250万円 ※種類により異なる |
申請方法 | 「GビズIDプライム」にて電子申請 参考:ものづくり補助金『トップページ』 |
ものづくり補助金は、賃上げや保険対象者拡大、インボイス制度導入などによって資金繰りが悪化している事業者に対して、サービス開発や生産性向上にかかる費用をサポートしている制度です。設備費・技術導入費・運送費・外注費など幅広い経費が対象となっています。事業再構築補助金と同様に、事業の設備や人材育成といった部分の見直しを図り、資金繰りを改善していきたい事業者におすすめの制度です。
IT導入補助金
対象者 | 業務改善ソフトやセキュリティ対策ソフトを導入した事業者 |
支給額 | 5〜450万円 ※種類により異なる |
申請枠 | ・通常枠(A・B類型) ・セキュリティ対策推進枠 ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) |
申請方法 | 専用サイトにて交付申請 参考:IT導入補助金2023『トップページ』 |
IT導入補助金は、業務効率化のためのITツールの導入を補助している制度です。セキュリティ対策ツールや受発注システムなどのほか、インボイス制度に対応するためのITツール費用も補助対象となっています。制度変革や事業拡大などに対応するため、これからITツールを新たに導入しようと考えている事業主におすすめの制度です。
小規模事業者持続化補助金
対象者 | 小規模事業を営む事業主 |
支給額 | 〜200万円 ※種類により異なる |
申請枠 | ・通常枠 ・賃金引上げ枠 ・卒業枠 ・後継者支援枠 ・創業枠 |
申請方法 | 原則J-Grantsでの電子申請、郵送も可 参考:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金『トップページ』 |
小規模事業者持続化補助金は、賃上げや事業継承などによって小規模事業を維持・存続しようと考えている事業者が利用できる制度です。業種によって異なりますが、常時使用する従業員の数が5〜20人以下の小規模事業者が対象となっていますので、事業規模によっては利用できないケースが多くあります。個人事業主は対象となりますので、ごく少人数の会社や個人事業主の方は、ぜひ利用を検討してみてください。
運送業が補助金・助成金を利用する流れ
補助金・助成金を利用する流れは、制度によって異なります。以下では、一般的な流れを記載しますので、利用するイメージが明確になっていない方はご覧ください。なお、以下の流れとは異なる場合もありますので、利用時には必ず要項をご確認ください。
①制度の要項を確認する
まずは、制度のホームページで要項を確認しましょう。制度ごとに「〇〇枠」というものが設けられているので、どの枠に申し込むか、自分は対象になるかを必ず確認してください。なお、公式ホームページによっては既に受付が終了している要項も閲覧可能になっている場合があります。最新の要項かも必ず確かめたうえで、要項を読みましょう。
②提出書類を準備する
どの制度に申し込むか、自分は対象者なのかを確認したら、提出書類の準備をしましょう。なお、補助金に関しては早期に受付を終了する場合があるので、受付を開始したらなるべく早く提出できるようにしてください。書類提出に関してよくあるミスとしては、以下の事例があります。
制度申請時によくあるミス
- 提出書類が足りていなかった
- 申請する枠を間違えていた
- 記載内容にミスがあり、修正が必要になった
- 当日必着を当日消印有効と勘違いしていた
ミスを減らすために大事なのは、余裕を持って準備をすすめることです。書類準備には2週間程度はかかりますので、確認作業も含めて、3週間程度かかる想定で準備を始めてください。
③書類を提出して審査結果を待つ
書類が全て揃ったら、提出をしましょう。前述の通り、早期終了やミスの修正などに備えて、なるべく早く提出するのがおすすめです。
書類申請が完了したら、審査結果が通知されるのを待ちましょう。制度によりますが、審査結果が出るまでに1ヶ月以上かかるケースもあります。審査結果を待っている間に資金が底を尽きないように、資金繰りには十分ご注意ください。
④審査が通ったら取り組みを実施する
審査が完了したら、採択・非採択通知書が届きます。採択通知が届いたら、計画書に沿って取り組みを実施しましょう。計画書通りに取り組みができなかった場合、補助金・助成金を受け取れなくなる可能性があるので注意が必要です。
⑤取り組みが完了したら完了報告し、支給を待つ
提出した計画書に沿って取り組みを行えたら、完了報告書を提出します。完了報告に問題がなければ、指定の口座に補助金・助成金が入金されますので、しばらく待ちましょう。
補助金・助成金を利用する際の注意点
補助金・助成金を利用する際には、申請するタイミングや、取り組みなどに関する注意点がいくつかあります。以下では、補助金・助成金を利用する際の注意点を3つ紹介しますので、利用前にご確認ください。
補助金は受付を早期終了する場合がある
補助金は、募集が多く予算に達する見込みとなった場合、早期に受付を終了します。申請期限からかなり前でも終了する場合があるので、受付開始前から書類準備を進められるとベストです。「書類準備をしている最中に受付が終了してしまった」といった結果にならないよう、余裕をもって準備しましょう。
採択通知が来たとしても事業状況によっては取消しになる
審査に通って採択通知を受け取ったとしても、計画書に沿って取り組みが行えなかった場合、採択取消しとなる可能性があります。審査に通りやすくなるようにと、実現できるかギリギリの計画書を提出してしまうと、結果として受給できなくなるリスクがありますので、無理のない計画書を作成するようにしてください。
原則として取り組み実施前でないと申請できない
制度によって異なりますが、多くの補助金・助成金は取り組み実施前でないと申請ができません。実施前に「こういった取り組みをします」という計画書を提出し、その計画が制度方針と合致していれば採択・支給となる仕組みだからです。
例えば、ITツール補助金を利用したい場合、過去に導入したITツールに関しては補助の対象となりません。賃上げが支給条件の場合も、賃上げ後の申請は対象外なケースがほとんどです。ただし、まれに実施後でも申請できるケースがありますので、必ず要項をご確認ください。
まとめ
運送業は、燃料費や人件費、その他諸経費の高騰によって、資金繰りが悪化しているケースが増えてきています。本記事で紹介した制度を活用しながら、資金繰り悪化を防ぐとともに、事業の立て直しを測りましょう。制度を上手に活用すれば、人材育成や賃上げ、設備強化などが実現できます。事業の維持・発展に関して、本記事が何かの参考になれば幸いです。
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